大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

福岡地方裁判所 昭和54年(わ)104号 判決

本店所在地ならびに代表者住居

福岡県糸島郡前原町大字前原二一六番地の一

合資会社友池金物店

右代表者

友池一己

本籍ならびに住居

福岡県糸島郡前原町大字前原二一六番地の一

会社役員

友池一己

明治四四年一〇月二五日生

昭和五四年(わ)一〇四号法人税法違反被告事件

検察官小林敬出席

主文

被告人会社を罰金五〇〇万円に、被告人友池を懲役四月に各処する。

この裁判確定の日から二年間右懲役刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人会社は、金物の販売等を営業目的とする資本金八〇〇、〇〇〇円の合資会社であり、被告人友池一己は、同会社の無限責任社員としてその業務全般を統括しているものであるが、被告人友池は、被告人会社の業務に関し、法人税を免れようと企て

(一)  昭和五〇年四月一日から同五一年三月三一日までの事業年度における被告人会社の実際の所得金額が、二四、二五二、八二九円であつたにもかかわらず、売上の一部を除外して簿外預金を設定するなどの不正な方法により所得を秘匿した上、同年五月三一日、福岡市西区百道一丁目五番二二号所在の西福岡税務署において、同税務署長に対し、所得金額が二、七二一、八〇二円であり、これに対する法人税額が六三六、三〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もつて、不正の行為により、被告人会社の前記事業年度における正当な法人税額八、六八九、六〇〇円と右申告税額との差額八、〇五三、三〇〇円を免れ

(二)  昭和五一年四月一日から同五二年三月三一日までの事業年度における被告人会社の実際の所得金額が、二五、八五八、五六九円であつたにもかかわらず、売上の一部を除外して簿外預金を設定したり、たな卸を除外するなどの不正な方法により所得を秘匿した上、同年五月三一日、前記西福岡税務署において、同税務署長に対し、所得金額が一、六四五、一七〇円であり、これに対する法人税額が四一二、六〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もつて、不正の行為により、被告人会社の前記事業年度における正当な法人税額九、四三一、八〇〇円と右申告税額との差額九、〇一九、二〇〇円を免れ、

たものである。

(証拠の標目)

判示全事実につき被告人の当公判廷における供述のほか一回公判調書中検察官証拠等関係カード記載番号10、1112、14、16、17、18、20ないし23、29、31、32、45、48ないし51の各標目と同一であり、判示冒頭事実につき右カード記載番号46の標目と同一であり、判示(一)事実につき同カード記載番号3、4、8、9、15、33、34の各標目と同一であり、判示(二)事実につき同カード記載番号5、6、7、28、35の各標目と同一であるから、それぞれの同一部分を引用する。

(法令の適用)

被告人友池の判示(一)(二)の各所為は、それぞれ法人税法一五九条一項に該当し、そして刑法四五条前段の併合罪であるが、被告人会社につき法人税法一六四条一項により罰金刑を科し、刑法四八条二項により判示(一)(二)の各罪所定金額の合算額範囲内で被告人会社を罰金五〇〇万円に処し、被告人友池につき判示(一)(二)の各罪いずれも所定刑中懲役刑を選択し、同法四七条本文、一〇条により重い判示(二)の罪の刑に法定の加重をし、その刑期範囲内で被告人友池を懲役四月に処し、情状により同法二五条一項を適用してこの裁判の確定した日から二年間右懲役刑の執行を猶予することにした。

よつて主文のとおり判決する。

(裁判官 田尻惟敏)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例